こんにちは、nanaです。
※この記事は『VIVANT』第2シーズン第20話(2026年10月11日放送)の重要な展開に触れています。シャキ城での救出作戦、和田貢の死、Fの行動などを含みますので、未視聴の方はネタバレにご注意ください。
『VIVANT』第20話を見終わってからも、しばらく耳に残っていたのはFの怒鳴り声でした。追っ手を止めるはずの爆破が予定どおりに進まず、通信機越しに東条を激しく責めたあの場面です。作戦の失敗が仲間の命に関わる状況だったことは分かります。それでも、Fがあれほど感情をむき出しにしたことには、どこか引っかかるものがありました。
そんなことを考えていると、不思議と浮かんでくるのが、和田の前で最敬礼をした乃木の姿です。もう返事をすることのない仲間に静かに頭を下げ、日本へ連れて帰ると告げたあの場面と、東条へ向けた激しい怒鳴り声。まるで正反対の出来事なのに、私にはどうしても切り離して考えられませんでした。
今回の救出作戦では、乃木たちが命懸けでシャキ城へ乗り込み、複雑な赤外線センサーや厳重な警備を突破して、ようやく地下牢へ辿り着きます。黒須たちとの再会は本当にうれしく、あの笑顔を見た瞬間には、これで全員が帰れるのだと胸をなで下ろしました。しかし、その場に和田の姿はなく、喜びは思いがけない悲しみへと変わってしまいます。
四人を救い出すことはできたのに、五人全員で帰るという願いは叶いませんでした。しかも乃木たちは、和田の遺体を乗せたまま再び危険な逃走へ向かうことになります。あれほどの犠牲を払って取り戻した仲間なのですから、今度こそ無事に帰ってほしい。その思いが強くなるほど、Fの怒りも最初に聞いたときとは違って感じられるのです。
この記事では、『VIVANT』第20話の出来事を振り返りながら、シャキ城への潜入、黒須たちとの再会、和田への最敬礼、そしてFが東条に激怒した場面を中心に、仲間を救おうとした人たちの心の動きを追っていきます。あわせて、アディエルの写真によって新たな危険が近づいたジャミーンの行方にも触れていきたいと思います。
この記事でわかること
まず、この記事で押さえておきたいポイントを4つにまとめます。
- シャキ城への潜入で新庄、チョッキー、ノコルが見せた働き
- 黒須たちとの再会と、和田に向けた乃木の最敬礼
- Fが東条へ激怒した理由と、その場面に重なる仲間への思い
- アディエルの写真からつながったジャミーンの過去と今後の危機
シャキ城で止まったチョッキーの足
乃木たちがシャキ城への潜入を始めたとき、ようやくここまで来たのだと思いました。黒須たち五人が捕らわれてから、救出作戦は何度も難しい局面を迎え、毒殺の期限が迫ったことで実行日も一日早められています。十分に準備してきたとはいえ、相手の警備がどれほど厳重なのか、城の中に入ってみなければ分からないことも多かったでしょう。
城の内部へ進んでいく乃木たちを見ていると、以前の『VIVANT』でも描かれた危険な潜入場面を思い出します。何が待っているのか分からない場所へ足を踏み入れ、仲間との連携を頼りに先へ進んでいく緊張感は、やはりこの作品ならではですね。今回も順調に進むかと思ったところで、予行演習とは比べものにならないほど複雑な赤外線センサーが行く手を阻みました。
その場で足を止めてしまったのがチョッキーです。優れた身体能力を持つ彼でも、目の前の仕掛けを失敗すれば警備に気づかれ、仲間全員を危険にさらしてしまうかもしれません。訓練でできたことが実際の現場でも必ずできるとは限らず、少しの失敗も許されない状況では、どれほど自信があってもためらう瞬間があるのでしょう。

新庄の励ましに見えた変化
そんなチョッキーの背中を押したのが新庄でした。緊迫した場面なのに、二人のやり取りにはどこか温かさがあり、新庄の声に応えるようにチョッキーが動き始めたときには、思わず応援したくなりました。新庄自身が代わって仕掛けを突破できるわけではありません。それでも、目の前で動けなくなっている仲間を励まし、もう一度挑戦できるように支えていたのです。
それにしても、新庄がこんな役割を果たすようになるとは思いませんでした。第1シーズンでは公安に所属しながらテントのモニターとして動き、最後には死亡したと思われていた人物です。何を考えているのか分からず、乃木たちにとっても簡単には信用できない存在だった新庄が、今は危険な城の中で仲間を励ましているのですから、随分と印象が変わったものです。
もちろん、現在の行動によって過去の裏切りがなかったことになるわけではありませんし、新庄がどんな思いで今の立場を選んだのかも、まだ十分に語られてはいません。ただ、赤外線センサーを前に立ち止まっていたチョッキーにとって、新庄は間違いなく頼りになる仲間でした。失敗が命に関わる状況でも相手の力を信じ、声をかけ続けることができる。その姿を見ていると、新庄という人物をもっと知りたくなります。
チョッキーが再び前へ進み始めると、止まりかけていた作戦も動き出しました。かつて誰のために働いているのか分からなかった新庄が、今は仲間のために懸命になっていることが、私は何より印象的でした。新庄が死亡を偽装して生き延びた経緯については、新庄の死亡偽装と乃木が残した「生きる道」でも振り返っています。
父のドラグノフを構えたノコル
城の中でチョッキーが奮闘している間、外から乃木たちを援護していたノコルの姿にも目を奪われました。彼が構えていたのは、父ノゴーン・ベキから受け継いだドラグノフです。ノコルにとってベキは父であると同時に、自分を育ててくれたかけがえのない存在でしたから、あの銃を手にした姿には、それだけでこれまでの物語が重なって見えました。
思い返せば、乃木とノコルは最初から兄弟として心を通わせていたわけではありません。乃木にとってベキは幼いころに離れ離れになった父であり、ノコルにとっては長い時間をともに過ごしてきた父でした。同じ父を持ちながら、二人が知っている父の姿も、その人に寄せる思いも違います。乃木がベキの実の息子だと分かったからといって、ノコルがすぐに受け入れられるような関係ではなかったでしょう。
そんな二人が、今では乃木が城の中を進み、ノコルが外からその背中を守っています。互いに信頼を確かめ合う言葉がなくても、乃木が援護を受けて進めること自体に、以前とは違う関係が見えてきます。しかもノコルの手にはベキが遺した銃があるのですから、父を通じてつながっていた二人が、少しずつ自分たち自身の絆を築いているようにも感じられました。
新庄がチョッキーを励まし、ノコルが離れた場所から乃木たちを支える。以前は立場も目的も違っていた人たちが、それぞれにできることを持ち寄っているからこそ、乃木たちは厳重な警備を越え、地下牢へと辿り着くことができたのでしょう。ようやく仲間のもとへ近づいていると感じられ、ここでは私も少し期待が膨らみました。
黒須の笑顔で、ようやく救われたと思った
地下牢で乃木たちを待っていたのは、黒須、高田、廣瀬、熊谷の四人でした。乃木の姿を見つけた黒須が笑い、廣瀬や熊谷の目には涙がにじみます。厳しい拷問に耐えながら、いつ終わるとも分からない時間を過ごしてきた人たちですから、あの表情を見れば、どれほど助けを待ち望んでいたのかが伝わってきました。
私は黒須の笑顔を見た瞬間、本当にほっとしました。いつまた敵が現れるのか分からない場所でありながら、あの短い再会だけは、仲間が戻ってきた喜びを素直に感じられる時間だったと思います。乃木も、ようやく黒須たちが生きていることを自分の目で確かめられました。作戦の途中では心配する気持ちを表に出す余裕などなかったかもしれませんが、四人の顔を見たときには、少し肩の力が抜けたのではないでしょうか。

黒須と乃木が積み重ねてきた時間
黒須の笑顔がことさら胸に残ったのは、乃木との間に積み重ねてきた時間があるからでしょう。第1シーズンで黒須は乃木に撃たれ、真意を知らされないまま、信頼していた仲間に裏切られたと思わされました。任務のためだったと分かったとしても、あのときの戸惑いや怒りまで簡単に消せるものではなかったはずです。
それでも二人は再び同じ任務に就き、乃木は大切な乃木家の守り刀を黒須へ託しました。自分の家に伝わるものを預ける相手として黒須を選んだことには、二人の間にある信頼の深さが表れていたように思います。その乃木が、今度は捕らわれた黒須を救い出すために危険な城へ乗り込んできたのですから、黒須にとってどれほど心強い再会だったことでしょう。
任務の中では互いの気持ちを細かく確かめ合うことなど、ほとんどありません。それでも命を預けてきた相手が自分を助けに来てくれたという事実には、どんな言葉より確かなものがあります。あの黒須の笑顔には、二人がこれまで言葉にしなかった思いまで表れているようで、できることならもう少し、この再会を見ていたい気持ちになりました。
和田だけがいない地下牢
ところが、救出するはずの仲間は五人でした。黒須たちと再会できた喜びの中で和田の姿がないことに気づき、乃木はその居場所を聞いて隣の拷問室へ向かいます。その姿を見ながら、私は第19話での和田を思い出していました。激しい拷問を受けても別班の情報を明かさず、最後には乃木家の守り刀で腹部と胸部を刺されてしまった和田です。
あれほど傷つけられたのですから、助かるのは難しいかもしれないと頭では分かっていました。それでも、乃木がここまで辿り着いたのなら、まだ少しは希望が残っているのではないかと思いたかったのです。作戦を一日早めたときにも、これなら間に合うかもしれないと期待していました。
しかし、隣の拷問室で乃木が見つけた和田は、すでに息を引き取っていました。黒須たちは乃木を見つけて笑うことができましたが、和田とはもうそんな再会ができません。仲間が助けに来たことを伝えることも、ようやくここまで来たのだと声をかけることもかなわないのです。
四人の命を救えたことは、もちろん大きな成果でした。あの笑顔を見られたことがうれしいのも変わりません。それでも、たった少しの時間が間に合わなかったために、和田だけは仲間とともに喜ぶことができなかった。その事実が、再会の喜びの中に深く残ってしまいました。
乃木が和田に最敬礼した場面
和田の遺体を前にした乃木は、静かに最敬礼をしました。つい先ほどまで敵の警備を突破するために激しく動いていた人たちが、もう何も言わなくなった仲間の前に立っています。その場面には胸を締めつけられるような静けさがあり、あの最敬礼を見ているうちに、和田が最後まで守り抜いたものの重さを改めて感じました。

和田は命を奪われるほどの拷問を受けながら、別班の情報を明かしませんでした。どれほどの苦痛に耐えたのか、私たちには想像することしかできませんが、同じ別班員である乃木には、和田が何を守ろうとしていたのかが分かっていたのでしょう。間に合わなかった悔しさも、任務を守り抜いた仲間への敬意も、あの姿には重なっていたように思います。
何より忘れられないのは、乃木が和田を悼むだけでは終わらなかったことです。最敬礼のあと、彼は和田を日本へ連れて帰ると告げました。もう命を救うことはできなくても、亡くなった場所へ置き去りにするのではなく、仲間とともに帰るべき場所へ連れていこうとしたのです。
守り刀がたどった残酷な道
和田の死には、もう一つ胸に残るものがあります。それが、彼を傷つけるために使われた乃木家の守り刀です。もともとは乃木から黒須へ託された大切な刀であり、任務をともにしてきた仲間への信頼が感じられるものでした。それが黒須の拘束によって敵の手に渡り、同じ別班の仲間を傷つけるために使われてしまったのですから、これほど皮肉なこともありません。
乃木が黒須に刀を託したとき、まさか和田の命を奪う場面に現れるとは想像していなかったでしょう。大切な人へ預けたものが、今度は別の仲間を傷つけてしまう。その事実を乃木がどう受け止めたのかは分かりませんが、最敬礼する姿を見ていると、和田への敬意だけではなく、助けられなかったことへの悔しさも胸にあったのではないかと考えてしまいます。
それでも、守り刀が敵の手に渡ったからといって、乃木が黒須に託した信頼まで失われたわけではありません。黒須は拷問を耐え抜き、和田もまた最後まで仲間を売ることはありませんでした。刀が本来とは違う使われ方をしてしまっても、別班員たちは自分たちの守るべきものを手放さなかったのです。
守り刀が和田へ向けられた経緯については、第19話の和田と乃木家の守り刀の考察でも振り返っています。第20話の最敬礼を見てからあの出来事を思い出すと、刀を黒須へ託したときとはまた違う思いが残ります。
亡くなった和田にも帰る場所がある
和田の遺体は袋に収められ、乃木の乗る三号車へ運ばれました。生きて救出された黒須たちと、もう目を開けることのない和田。同じ車で日本を目指すことになっても、そこから先に待つ時間はまるで違います。黒須たちは帰国すれば大切な人と再会し、奪われていた日々を少しずつ取り戻していけるでしょうが、和田にはその先の人生がありません。
それでも乃木は、和田を一緒に連れて帰ることを選びました。生きている仲間を救い出すだけでも危険な任務なのに、遺体を運びながら逃げるとなれば、作戦はさらに難しくなるはずです。それを承知で連れて帰ろうとするところに、私は乃木の人柄を感じました。任務の途中で命を落としたからといって、そこで仲間との関係が終わるわけではないのでしょう。
考えてみれば、乃木にとっても苦しい約束だったと思います。和田を連れて帰ると決めた以上、今度はその約束を守るために、残された仲間たちとともに城から脱出しなければなりません。しかも相手は、あれほど厳重な警備でシャキ城を守っていたシンシーです。簡単に逃がしてくれるはずもなく、乃木たちの車が城を離れると、すぐに追っ手が迫ってきました。
追っ手を止められなかった東条
乃木たちを追いかけてきたのは、バイク一台と車三台でした。暗い山道を走る車には、厳しい拷問から救い出されたばかりの仲間と和田の遺体が乗っています。地下牢で黒須たちの笑顔を見たときには、ようやく任務の終わりが見えてきたように思えましたが、今度はその仲間たちを守りながら追撃を振り切らなければなりません。
逃走を助けるため、ナティックは経路上のA・B・Cという三か所に爆弾を仕掛けていました。追っ手が近づいたところで遠隔操作によって起爆し、乃木たちとの距離を広げる作戦です。その重要な操作を任されていたのが、通信基地にいる東条でした。

A地点とB地点で狂い始めた計画
東条はこれまでにも、優れた技術で乃木たちを幾度となく助けてきました。現場で銃を構えることはなくても、遠く離れた場所で仲間を支える仕事には、彼にしかできないものがあります。今回も追っ手の動きを確認しながら爆弾を起動させるという、逃走の成否を左右する役目を任されていました。
最初のA地点では爆弾を起動したものの、追っ手の車両を破壊することができませんでした。続くB地点では二台を止めることに成功しましたが、残るバイクと車一台は追跡を続けています。二台を止められたことには少し安心したものの、まだ敵が迫っている様子を見ると、成功した部分より止めきれなかったことのほうが気になってしまいました。
しかも、敵がC地点を越えてしまえば、シンシー側は再び通信を使えるようになります。追っ手の数が減ったとしても、増援を呼ばれてしまえば状況は一気に悪くなるでしょう。東条は何とか立て直そうとしていましたが、現場では乃木たちが追われ続けており、もう失敗を取り返すための時間も十分には残されていませんでした。
東条にとっても、あの状況は相当な重圧だったと思います。通信基地から敵の動きを確認し、爆破の瞬間を見極めることが簡単ではないのは、見ている側にも伝わってきました。それでもFにとっては、東条がどれほど緊張していたかよりも、まだ追っ手が迫っているという現実のほうが切実だったのでしょう。その焦りが、次の瞬間には激しい怒りとなって表れます。
Fが東条に激怒した理由
Fが東条を激しく責めたとき、私は思わず驚きました。普段から厳しい判断をする人物であることは知っていますし、乃木が迷うような場面でも、必要だと考えれば容赦なく行動しようとするところがあります。それでも今回は、仲間である東条に向けた怒り方がずいぶん激しく感じられました。
東条も失敗したくて爆弾を起動していたわけではありません。離れた通信基地から敵の動きを確認し、仲間を助けるために懸命に操作していたのですから、思いどおりにいかなかったことを誰よりも悔しく感じていたはずです。そこへFの叱責が飛んできたものですから、見ているこちらまで緊張してしまいました。

私は正直、東条が少しかわいそうになりました。もう十分に焦っているでしょうし、次の操作まで失敗すれば、今度こそ取り返しのつかないことになるかもしれません。そんなときに激しく怒鳴られたら、かえって冷静さを失ってしまいそうです。それでもFは怒りを抑えようとはせず、その様子を見ているうちに、なぜあそこまで感情をむき出しにしたのだろうと考えずにはいられなくなりました。
Fの怒りに重なった和田への最敬礼
ここで思い出したのが、和田の前で最敬礼した乃木の姿でした。和田を日本へ連れて帰ると約束したばかりなのに、その遺体を乗せた車が今、追っ手に迫られています。ようやく救い出した黒須たちも同じように危険にさらされており、逃走に失敗すれば、五人を連れて帰ろうとした作戦そのものが崩れてしまうかもしれません。
和田はもう戻ってきませんが、黒須たち四人の命はまだ守れるはずです。そのために準備してきた作戦が、あと少しのところで予定どおりに進まなくなったのですから、Fが冷静ではいられなかったことにも理解できる部分があります。単に爆破を失敗したというだけではなく、その失敗によって何を失うかもしれなかったのかを考えると、あの怒りには別の重さが見えてきました。
ただ、私はFの怒りを、仲間を守りたいという気持ちだけで説明しきれるとは思っていません。Fはもともと結果に厳しい人物ですし、必要なことをためらわずに実行しようとする一方で、計画を乱すものに強い苛立ちを見せることもあります。東条に求めていたのも、決められた役割を確実に果たすことだったのでしょうから、失敗そのものが許せなかったという面もあったはずです。
それでも今回は、普段ならもっと冷静に状況を判断しそうなFが、感情を抑えられないほど激しく怒っています。失敗への苛立ちと、その先に起こるかもしれないことへの恐れが、彼の中で重なっていたのかもしれません。F自身がどのような思いで東条を責めていたのかはまだすべて明らかになっていませんが、あの怒り方には、これまでのFとは少し違うものを感じました。
新庄の言葉とFの言葉
Fの怒りを見ていると、シャキ城の赤外線センサーの前で新庄がチョッキーを励ましていた場面も思い出されます。新庄は動けなくなったチョッキーの力を信じ、もう一度挑戦できるように声をかけていました。一方のFは、爆破に失敗した東条へ厳しい言葉をぶつけています。二人とも仲間の力を必要としているのに、その相手へ向ける言葉はまるで違いました。
もちろん、チョッキーはこれから難しい仕掛けへ挑むところであり、東条はすでに重要な操作に失敗していましたから、同じように比べられる状況ではありません。それでも、新庄の言葉を受けたチョッキーには再び挑戦する力が生まれ、Fから叱責された東条には、さらに失敗できないという重圧がかかっていたように見えます。
新庄はチョッキーならできると信じていたのでしょう。Fもまた、東条の能力を信頼していたからこそ、失敗を受け入れられなかったのかもしれません。同じように仲間を頼っていても、その思いが表に出てくる形はこれほど違うのだと思うと、二人の性格だけでなく、追い詰められた状況での人との向き合い方まで見えてくるようでした。
今回の救出作戦は、誰か一人の力で成し遂げられるものではありません。チョッキーが赤外線を突破できたのも、新庄の励ましがあり、外からはノコルが援護してくれたからです。通信基地の東条や太田たちも、離れた場所から自分たちの役割を果たそうとしていました。互いの力を必要とするからこそ、誰かの失敗がほかの仲間の危険へつながってしまうところに、この作戦の難しさがあったのでしょう。
最敬礼した乃木と、怒りを見せたF
第20話を振り返ると、和田の前で最敬礼した乃木と、東条に激怒したFの姿が、どうしても一つにつながって見えます。二人は同じ身体の中に存在し、Fが前面に出て任務を進めることもあります。普段の振る舞いには違いがあっても、今回の作戦ではともに仲間を救い出すという目的のもとで動いていました。
和田の前に立った乃木は、もう変えられない現実に向き合っていました。どれほど悔やんでも救出が間に合わなかった事実は消えず、和田を生き返らせることもできません。それでも最後まで任務を果たした仲間へ敬意を示し、日本へ連れて帰ると告げたのです。
そのあとでFが怒りを見せたのは、これから再び仲間の命が失われるかもしれない瞬間でした。和田はもう戻ってきませんが、黒須たちの命はまだ守れます。無事に帰還するまでは何も終わっていないのだと考えると、Fがあそこまで激しく反応したことにも、少し違う意味があるように思えてきます。
私は以前、Fをもっと冷静で割り切った人物のように見ていたところがありました。任務を成功させるためなら、どんな状況でも感情に左右されずに判断できる人間なのだと。しかし今回の姿を見ていると、そんなFの中にも簡単には抑えられない感情があるのかもしれないと思わされます。
その一方で、怒りが正しい判断につながるとは限りませんし、東条にとっては叱責されたところで爆破の失敗が消えるわけではありません。Fの厳しい言葉をそのまま肯定することはできませんが、失敗の先にある危険を誰よりも強く意識していたのだとしたら、あの激しさにも納得できる部分があります。
和田を連れて帰るという約束を背負いながら、残された仲間たちの命も守らなければならない。その重圧の中でFが何を感じ、次にどんな判断をするのか。第20話の怒鳴り声は、その先を見届けることで、また違って聞こえてくるのかもしれません。
通信基地で黒須を待つ太田梨歩
東条が爆破作戦を進めていた通信基地には、太田梨歩もいました。太田にとって今回の救出は、ただ任務を成功させるためだけのものではなかったでしょう。捕らわれた別班員の中には、彼女が大切に思っている黒須がいるからです。
第1シーズンで太田が苦しい状況に置かれていたとき、黒須は彼女の心に寄り添いました。そのころのことを思い出すと、今度は太田が黒須を助ける側にいるというのが、何だかうれしくなります。直接城へ向かうことはできなくても、東条やフィルザたちと力を合わせ、離れた場所から黒須たちの帰還を支えているのです。
太田といえば、一人でコンピューターに向かい、ずば抜けた技術を発揮する姿が印象的でした。それが今は、仲間と同じ目的に向かって力を貸しています。以前は一人で抱えていたものを、少しずつ誰かと分け合えるようになったのでしょうか。そんな変化も感じられて、通信基地にいる太田の姿が以前よりずっと頼もしく見えました。
黒須が無事に救出されたという知らせは、太田にとって何よりうれしいものだったはずです。ただ、まだ安全な場所へ戻れたわけではありません。東条が追っ手を止めきれなかったことで、黒須が再び危険にさらされるかもしれないのですから、通信基地で状況を見守っている時間も相当につらかったでしょう。
現場で戦う乃木たちだけでなく、遠く離れた場所で仲間の無事を願う人たちにも、それぞれの苦しい時間が流れていました。だからこそ今回の救出作戦は、黒須たちが城から出られただけでは終わらないのだと思います。太田が黒須ともう一度顔を合わせ、ようやく安心して笑えるところまで見届けたいですね。
アディエルの写真からつながるジャミーンの過去
シャキ城で救出作戦が進んでいる一方、野崎のいる場所でも思いがけない事実が明らかになりました。シンシーのリュウたちは、核融合科学者エリシャ・ママドフの娘プリシャが連れ去られた事件を調べています。その中で浮かび上がったのが、ノゴーン・ベキと、もう一人の若いサムライの存在でした。
年長のサムライがベキだと分かり、さらに野崎が示した写真によって、若い人物がアディエルだったことも明らかになります。アディエルの名前を聞いた瞬間、第1シーズンでジャミーンを育てていた父親の姿を思い出しました。彼が亡くなったあとも、ジャミーンの周囲には分からないことがいくつも残されていましたから、ここで再び名前が出てきたことには驚きました。

なぜジャミーンはアディエルに育てられていたのか、彼女自身はどんな過去を持っていたのか。これまで別々に見えていた出来事が、プリシャの失踪事件とアディエルを通して少しずつつながり始めています。プリシャとジャミーンが同じ人物なのではないかという疑問も、今回の写真によっていっそう強くなりました。
ようやくジャミーンの過去に近づけたようで、私もこの展開には興味を引かれました。ただ、同時に気になるのは、その手がかりを得たのが野崎たちだけではないことです。シンシーもまた、アディエルからジャミーンへとつながる道を見つけてしまいました。
ドラムが野崎を止めようとした瞬間
野崎がアディエルの写真を示そうとしたとき、ドラムは必死に制止しようとしていました。私は写真の内容以上に、そのドラムの反応が印象に残っています。いつも野崎のそばで行動し、数々の危険をともに乗り越えてきたドラムが、あの場面では明らかに不安を感じているように見えたからです。
ドラムはこれまでジャミーンに優しく寄り添い、彼女のことを大切に守ってきました。幼いジャミーンがつらい経験を重ねてきたことも知っているのでしょうから、敵にその過去を知られることがどれほど危険なのか、誰よりも敏感に感じ取ったのかもしれません。
野崎には、写真を示した理由があった可能性もあります。これまでも彼は簡単には本心を明かさず、相手の反応を見ながら動くことがありましたから、今回も何かを探るために情報を見せたのかもしれません。ただ、ドラムがその意図まで理解していたかどうかは分かりませんし、大切なジャミーンに危険が及ぶかもしれないと感じれば、野崎を止めずにはいられなかったのでしょう。
実際、その後リュウたちは日本にいるジャミーンを連れ去ることまで考え始めています。第1シーズンで多くのつらい経験をし、ようやく日本で穏やかな時間を過ごせるようになったジャミーンに、また危険が近づこうとしているのです。アディエルの過去が明らかになることには興味があっても、それがジャミーンの新たな苦しみにつながるのだとしたら、素直には喜べません。
ジャミーンが自分の過去を知る日が来たとき、それが彼女にとってどんな意味を持つのかも気になります。本当の親のことや、アディエルが彼女を育てることになった事情が明らかになれば、これまでの物語の見え方も変わってくるでしょう。だからこそ、野崎やドラムがこれからどのようにジャミーンを守ろうとするのかを見届けたいと思います。
プリシャとジャミーンの関係については、プリシャ・ママドフの正体とジャミーンの過去を考察した記事でも整理しています。アディエルの名前が明らかになったことで、これまで分からなかった出来事にも少しずつ輪郭が見えてきました。
第21話へ残された二つの危機
第20話で黒須たち四人の救出は成功しましたが、乃木たちはまだシンシーの追撃から逃げ切れていません。地下牢で黒須の笑顔を見たときには、これでようやく日本へ帰れるのだと思いました。それだけに、城を離れてからも危険な状況が続いていることが、もどかしく感じられます。
東条が担当した爆破作戦では追っ手を完全に止められず、敵が通信を取り戻す危険も迫っていました。落雷によって通信や通訳機にも問題が生じ、仲間との連携まで難しくなっています。Fが激怒したあと、東条たちはどうやって状況を立て直すのでしょうか。残された追っ手を振り切り、和田を乗せた三号車を無事に帰還させられるのかが気になります。
そしてもう一つ、日本ではジャミーンの身にも危険が近づいています。アディエルの写真によってプリシャの過去がつながり始めた一方、その情報を手にしたシンシーがジャミーンを狙うことになりました。乃木たちが遠い異国で仲間を助けようとしている間に、今度は日本にいるジャミーンを誰が守るのかという問題が生まれています。
離れた場所で起きている二つの出来事ですが、どちらにも守りたい人がいます。乃木たちは黒須たちを無事に帰国させなければなりませんし、野崎やドラムも、ジャミーンが再び危険な目に遭うことを防がなければなりません。第21話では逃走の結末とともに、野崎がどんな考えでアディエルの写真を示したのかにも注目したいところです。
『VIVANT』第20話のFAQ
第20話で描かれた出来事の中から、特に気になる点を整理します。
第20話で黒須たちは救出されたの?
乃木たちはシャキ城の地下牢へ辿り着き、黒須、高田、廣瀬、熊谷の四人を救出しました。ただし城から脱出したあともシンシーの追撃は続いており、安全な帰還が完了したわけではありません。
和田貢は第20話で死亡したの?
第20話では、乃木が隣の拷問室で亡くなった和田を発見しました。乃木は和田に最敬礼をし、日本へ連れて帰ると告げています。
Fが東条へ激怒した理由は?
東条が担当した爆破作戦で追っ手を止めきれず、シンシー側の通信が回復する危険が迫っていたことが直接のきっかけです。和田を失ったあと、救出した仲間たちまで再び危険にさらされていたことも、Fの怒りを考えるうえで気になる点です。
プリシャとジャミーンは同一人物なの?
第20話では、プリシャの失踪事件に関わっていた若いサムライがアディエルだったことが分かりました。アディエルが育てていたジャミーンとプリシャのつながりが、これまで以上に強く示されています。
第21話で注目したいことは?
乃木たちがシンシーの追っ手を振り切れるのか、Fが東条の失敗を受けてどう行動するのかが気になります。また、ジャミーンを狙うシンシーに対して、野崎とドラムがどのように動くのかも見逃せません。
和田との約束を乗せた帰り道
第20話を振り返って、私はやはり黒須の笑顔が忘れられません。乃木の姿を見つけた瞬間、あれほど苦しい時間を耐えてきた黒須がようやく笑ってくれました。廣瀬や熊谷の目にも涙がにじみ、命懸けの救出作戦がようやく報われたように感じられた、あの再会です。
その喜びのすぐそばに、和田の死がありました。乃木は和田の前で最敬礼をし、日本へ連れて帰ると告げています。あの静かな場面を思い出すと、今でも胸が苦しくなります。ようやく仲間が助けに来てくれたのに、和田にはもう返事をすることも、一緒に喜ぶこともできなかったのです。
それでも乃木は、和田を一緒に連れて帰ることを選びました。その約束を乗せた車が今、追っ手から逃げています。Fが東条へ激怒したとき、私は最初、どうしてそこまで怒るのだろうと思いました。東条の失敗が危険を招いたことは確かですが、あれほど激しい言葉を仲間に向ける必要があったのかという気持ちも残ったのです。

ただ、和田を連れて帰ると約束した場面を思い出すと、Fの怒りが少し違って見えてきます。和田はもう戻ってきませんし、ようやく救い出した黒須たちまで再び失うわけにはいきません。Fのあの怒りのすべてが仲間を守りたいという気持ちから生まれたとは言い切れませんが、あの車に誰が乗っていたのかを考えると、彼がそこまで追い詰められていた理由にも少し近づける気がします。
黒須たちは、やっと助け出されました。太田も黒須が無事に帰ってくることを待っているはずですし、和田にもまた帰るべき場所があります。生きて帰ることはできなくても、乃木が最敬礼のあとに告げた約束が果たされることを願わずにはいられません。
第21話では、追っ手を振り切れるかどうかはもちろん、帰り着いたときに黒須たちがどんな表情を見せるのかも気になります。あの地下牢で乃木を見つけて笑った黒須のように、もう一度安心した顔が見られたらうれしいですね。そして和田も、必ず仲間と一緒に日本へ帰ってきてほしいと思います。
なお、現在放送されているほかのドラマについても、「今週のドラマの余白」で、心に残った場面や人物の選択を振り返っています。
