こんにちは、nanaです。
フジテレビの月9ドラマとして放送され、大きな話題を呼んだ『ミステリと言う勿れ』。その中でも、物語の縦軸に関わる最も重要なエピソードと言えば、やはり「バスジャック編」ですよね。
第2話から第3話にかけて描かれたこの事件は、単なる謎解きにとどまらず、見る人の倫理観を揺さぶるような展開の連続でした。
菅田将暉さん演じる主人公・久能整が、カレー日和に巻き込まれてしまった不運なバスジャック。しかし、そこで出会ったのは、今後の物語に深く関わってくることになる重要人物たちでした。
犯人は一体誰なのか、そして永山瑛太さん演じる金髪の謎の乗客「熊田翔」の正体は何なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。実は私も放送当時は、そのあまりにも衝撃的で、ある種残酷とも言える結末に、テレビの前でしばらく言葉を失った一人です。
今回は、ドラマ『ミステリと言う勿れ』のバスジャック事件に関するネタバレ情報を中心に、あらすじやキャストの演技、真犯人の歪んだ心理、そして原作との違いやロケ地情報についても、私なりの考察を交えながら徹底的に解説していきます。かなり踏み込んだ内容になりますので、まだ視聴されていない方はご注意くださいね。
ドラマミステリと言う勿れバスジャックのネタバレ全貌

ここからは、物語の核心に触れる重要なパートに入ります。このバスジャック事件は、単なるサスペンスミステリーではありません。登場人物それぞれが抱える心の闇や、現代社会が抱える「いじめ」や「同調圧力」といった問題が浮き彫りになる、非常に濃密で哲学的なエピソードです。犯人が誰なのか、そして事件の裏に隠された真実とは何なのか。ドラマ『ミステリと言う勿れ』のバスジャック編に関するネタバレ情報を、時系列に沿って余すところなくお伝えしていきたいと思います。整くんの言葉に耳を傾けながら、事件の深層へ一緒に潜ってみましょう。
第2話と第3話のあらすじ詳細
物語は、主人公の久能整が楽しみにしていた「印象派展」に向かうために、路線バスに乗り込むところから始まります。いつものように平穏な日常が続くかと思いきや、突如としてバスジャックが発生してしまうのです。犯人はナイフを持った男で、「犬堂オトヤ」と名乗ります。しかし、彼の行動は通常のバスジャックとは明らかに異なっていました。身代金を要求するわけでもなく、ただバスを走らせ続け、乗客たちに一人ずつ「名前」や「職業」を尋ねるなど、不可解な行動を繰り返すのです。
車内の空気は凍りつきますが、整くんだけは持ち前の洞察力と、良くも悪くも空気を読まないマイペースさで、犯人に対して逆に質問を投げかけます。「どうしてバスジャックなんてするんですか?」「目的は何ですか?」と淡々と尋ねる整くんに対し、犯人のオトヤも調子を狂わされていく様子がコミカルでありながらも、緊張感を保ったまま描かれます。
一方、警察側では、大隣警察署の風呂光聖子巡査がバスジャックの通報を受けますが、上司の青砥や池本たちは「イタズラだろう」と取り合ってくれません。実はこの時、犯人グループの手によって、バスの運行記録やGPSが巧妙に偽装されており、外部からはバスが通常通り運行しているように見えていたのです。この周到な計画性が、単なる衝動的な犯行ではないことを示唆していました。
バスはその後、一時的に公園に停車し、乗客はトイレ休憩を許されます。整くんはこの隙を見逃さず、以前池本巡査から教えてもらっていた連絡先を思い出し、現状を記したSOSのメモを外部に残すというファインプレーを見せます。このメモが後に警察を動かす決定打となるのですが、この時点ではまだ誰も、このバスジャックの本当の目的に気づいていませんでした。
再び走り出したバスは、犯人の指定した古びた巨大な屋敷(犬堂家の邸宅)に到着します。ここで物語は「密室劇」へと移行し、犯人グループは乗客たちを集めて奇妙な心理ゲームを開始します。「自分が犯した中で最も重い罪を告白しろ」というのです。
極限状態の中で、乗客たちはそれぞれの抱える闇やトラウマ、秘密を吐露し始めます。いじめ、パワハラ、不妊治療の悩み……。整くんは彼らの告白を否定することなく、独自の視点で言葉をかけ、彼らの心を解きほぐしていきます。しかし、実はこの一連の流れすべてが、ある真実を暴くために仕組まれた壮大な「劇場型犯罪」だったのです。
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犯人は運転手の煙草森誠

結論から申し上げますと、この一連の事件の真犯人、つまり世間を騒がせていた連続殺人事件の犯人であり、犬堂我路の最愛の妹・愛珠を殺害したのは、なんとバスの運転手である煙草森誠(たばこもり・まこと)でした。
この事実は、多くの視聴者にとって予想外の展開だったのではないでしょうか。煙草森はドラマの冒頭からずっと、犯人に脅される「可哀想な被害者」として描かれていました。気が弱そうで、オトヤに命令されるがままにバスを運転し、屋敷でも怯えた様子を見せていました。しかし、これらすべてが、彼が意図したものではないにせよ、彼の本性を隠す隠れ蓑になっていたのです。
久能整だけは、そんな煙草森の些細な行動に違和感を抱き続けていました。決定的な瞬間は、屋敷の中で煙草森が落ちていたゴミを拾った時の行動です。普通の感覚であれば、拾ったゴミはゴミ箱に捨てるか、ポケットに入れるかするでしょう。
しかし、煙草森はあろうことか、そのゴミをこっそりとカーペットの下に隠したのです。一見するとただの奇行に見えますが、整くんはこの行動から彼の深層心理を見抜きました。
整くんの推理ポイント:異常なまでの「片付け」心理
「ものが視界から消えれば、その存在自体がなくなったと思って安心する」。
整くんは、煙草森が「捨てる」のではなく「隠す」ことで問題を解決した気になっていると指摘しました。この独特かつ幼稚な心理構造こそが、連続殺人事件の犯行手口と密接にリンクしていたのです。
彼は殺人を犯した後、遺体を適切に処理したり証拠隠滅を図ったりするのではなく、ただ「見えなくする」ために埋めていました。彼にとって殺人は「悪事」ではなく、散らかった部屋を片付けるのと同じ感覚の「整理整頓」だったのです。
この悪意のなさが、逆に彼のサイコパス性を際立たせ、視聴者に強烈な恐怖を与えました。被害者のふりをしていた人物が、実は最も危険な怪物だったというこの展開は、ミステリードラマとしての完成度を物語っています。
熊田翔の正体は犬堂我路

バスジャック編における最大のカタルシスであり、物語を最高潮に盛り上げたのが、乗客の一人「熊田翔」の正体判明シーンでしょう。金髪のマッシュルームヘアに派手なファッション、態度は少しチャラいけれど、整くんをかばったり、犯人に果敢に意見したりと、どこか憎めない兄貴分的な存在として描かれていた彼。しかし、その正体こそが、今回のバスジャック事件の首謀者であり、殺された犬堂愛珠の兄、犬堂我路(いぬどう・がろ)だったのです。
我路は、妹の愛珠が亡くなった際に警察が「事故死」として処理したことに納得がいかず、独自に調査を進めていました。そして、愛珠が亡くなった日に乗っていたバスと同じ路線の常連客の中に犯人がいると確信し、従兄弟である犬堂オトヤと犬堂ハヤ(乗客の坂本正雄役)と共謀して、このバスジャック事件を自作自演したのです。
つまり、バスジャック犯だと思われていたオトヤたちは彼の手駒に過ぎず、人質だと思われていた熊田翔こそが、この場の支配者だったわけです。
正体を現した瞬間の永山瑛太さんの演技は、まさに圧巻の一言でした。それまでの人懐っこい笑顔が一瞬で消え去り、冷徹で鋭い眼光を放つ復讐者へと変貌する様は、見ているこちらの背筋が凍るほどの迫力でした。
「整くん」と親しげに呼んでいた彼が、実は整くんの能力を試し、真犯人をあぶり出すための駒として利用しようとしていた(結果的には信頼関係が生まれましたが)という構造も非常にスリリングです。
彼は警察という公的機関を信用せず、自らの手で真実を暴き、裁きを下すことを選びました。この危うさと美しさを併せ持つ「ダークヒーロー」的な立ち位置が、犬堂我路というキャラクターを強烈に魅力的にしています。
整くんとは対照的な存在でありながら、どこか通じ合う魂を持つ二人。この出会いが、今後のシリーズ全体に大きな影響を与えていくことになるのです。
犯人の動機と手首の結末
煙草森誠の犯行動機、そして事件の結末は、通常のドラマでは考えられないほど救いがなく、後味の悪いものでした。しかし、それこそが『ミステリと言う勿れ』という作品の真骨頂でもあります。
煙草森が語った動機は、あまりにも短絡的でした。彼は愛珠に対して個人的な恨みや執着があったわけではありません。あの日、バスの終点で愛珠が発作を起こして倒れ込んでしまった際、彼はそれを心配するどころか、「面倒なことになった」「散らかった状態だ」と認識しました。
そして、その「散らかったもの」を片付けるために、なんと彼女をそのまま生き埋めにしたのです。彼の中では「埋めて見えなくなれば、それで解決」という、幼児のような理屈がまかり通っていたのです。
さらに視聴者を戦慄させたのは、その後の告白です。土に埋められた際、愛珠はまだ息があり、意識を取り戻しました。しかし煙草森は助けることをせず、彼女が苦しんで震える感触を、あろうことか「快感」として記憶してしまったのです。
その後、彼はその震える感覚をもう一度味わいたいがために、無関係な人々を次々と襲い、連続殺人に手を染めることになりました。罪悪感のかけらもないその語り口は、人間の理解を超えた「純粋な悪」を感じさせました。
事件解決後、警察に逮捕された煙草森ですが、精神鑑定の結果、心神喪失で罪に問われない可能性、あるいは不起訴になる可能性が浮上します。法の限界を知った我路たちは、ここである決断を下します。移送中の警察車両を襲撃し、煙草森を拉致したのです。
後日、整くんの自宅に一つのクール便(冷凍)が届きます。差出人不明のその荷物を開けると、中に入っていたのは……煙草森の切断された手首でした。箱の中には、我路たちが愛珠の遺留品であるブレスレットを回収したことを示すメッセージも添えられていました。
ラストシーンの「手首」が意味するもの
この衝撃的なラストは、我路たちが法に代わって煙草森を「処刑」したことを強く示唆しています。彼らは殺人者となり、逃亡者となる道を選びました。整くんはその事実を悟り、複雑な表情を浮かべます。正義とは何か、法とは何かを私たちに突きつける、あまりにも重い結末でした。
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久能整の名言と罪の告白

バスジャック編は、サスペンス要素だけでなく、久能整が放つ数々の「名言」も大きな見どころでした。彼の言葉は、常識にとらわれた私たちの価値観を優しく、時に鋭く解体していきます。特に、屋敷での「罪の告白」のシーンで語られた言葉は、現代社会に生きる多くの人々の胸に刺さったはずです。
例えば、過去にいじめられ、万引きを強要されていたことを告白した乗客・淡路一平に対して、整くんはこう語りかけます。
「欧米の一部では、いじめている方を病んでいると判断するそうです。いじめなきゃいられないほど病んでいる。だから隔離して、カウンセリングを受けさせて、癒すべきだと考える。でも日本は逆です。いじめられている方が逃げなきゃいけない。病んでいるのは向こうなのに」
このセリフは放送直後、SNS上でも大きな反響を呼びました。被害者が転校したり、引きこもったりして「逃げる」ことを余儀なくされる日本の現状に対し、根本的なシステムの問題を指摘しつつ、「逃げてもいいんだよ」と肯定してくれる整くんの優しさが詰まっていました。被害者が自分を責める必要はないのだと、明確に言語化してくれたのです。
また、犯人役を演じていたオトヤからの「どうして人を殺しちゃいけないんだ?」という挑発的な問いに対する回答も秀逸でした。整くんは感情論や道徳論で説教をするのではなく、淡々とこう答えます。
「いけなくはないんだけど、ただ秩序のある平和で安定した社会を作るために、便宜上そうなっているだけです」
続けて、「ここでは秩序を重んじる側の人間(警察など)がいるから、あなたは殺されずに済んでいるんですよ」と、犯人自身の身の安全もそのルールによって守られているという矛盾を突きつけました。このドライかつ論理的な説得は、まさに久能整ならでは。「殺してはいけない」という当たり前の倫理を、全く新しい角度から解説してくれた名シーンでした。
ドラマミステリと言う勿れバスジャックのネタバレ考察

さて、ここからは少し視点を変えて、ドラマの制作背景や、物語に込められた深いテーマについてさらに踏み込んで考察していきたいと思います。
ドラマ『ミステリと言う勿れ』のバスジャック事件に関するネタバレを知った上で、さらに作品の世界観を深掘りするための情報、例えば豪華なキャスト陣の演技の凄みや、ロケ地に隠された秘密、そして原作漫画との比較などを詳しくまとめてみました。これを知れば、ドラマをもう一度見返したくなること間違いなしです。
永山瑛太ら豪華キャスト一覧
このバスジャック編がこれほどまでに評価されている理由の一つに、実力派俳優たちによる「演技の殴り合い」とも言える熱演があります。ほぼバスの中と屋敷の中という「密室劇」であるため、役者の力量がダイレクトに伝わってくるのです。改めて、主要なキャストと注目ポイントを整理してみましょう。
| 役名 | 俳優名 | 役どころ・特徴・演技の注目点 |
|---|---|---|
| 久能整 | 菅田将暉 | 観察眼鋭い大学生。淡々とした口調の中に、相手を思いやる温かさと鋭い刃を隠し持つ。膨大なセリフ量を自然に操る菅田さんの演技力は圧巻。 |
| 犬堂我路 (熊田翔) | 永山瑛太 | バスジャックの首謀者。金髪の「熊田翔」としての軽妙な演技と、「犬堂我路」としての冷酷でカリスマ性あふれる演技のギャップが凄まじい。 |
| 犬堂愛珠 | 白石麻衣 | 我路の妹。回想シーンのみの登場だが、儚さとミステリアスな存在感で、我路の執念の理由を説得力あるものにした。 |
| 煙草森誠 | 森下能幸 | バス運転手。気弱な被害者を装いつつ、その裏にある異常な「無関心」と「狂気」を見事に表現。瞬き一つしないような不気味さが光った。 |
| 犬堂オトヤ | 阿部亮平 | 実行犯役。粗暴で短気な振る舞いを見せるが、実は我路に従順。ヒール役としての迫力が場の緊張感を高めた。 |
| 犬堂ハヤ (坂本正雄) | 久保田悠来 | 乗客役の共犯者。オトヤを殴り倒すシーンでのアクションは見事。冷静沈着なサポート役を好演。 |
特に注目のポイント:永山瑛太さんのオーラ
永山瑛太さんは、この役のために金髪に染め上げたそうですが、ビジュアルのインパクトだけでなく、後半に見せる「目の演技」が本当に怖いです。整くんに対してふと見せる優しい表情と、犯人に対する冷徹な表情の使い分けは、まさに怪演。原作ファンからも「イメージ通りのガロだ」と絶賛されました。
原作漫画とドラマの違い
私は原作漫画も全巻読んでいる大ファンなのですが、ドラマ版を見ていていくつか「おっ、ここは変えてきたな」と思うポイントがありました。原作ファンとして気になった設定変更や、ドラマならではのアレンジについて解説します。
1. 時系列の大胆な変更
原作では、バスジャック編(episode 2)は物語のもっと序盤、第1話の事件解決から少し時間が経ってから描かれます。しかしドラマ版では、第1話のラストシーンから直結する形で、整くんが警察署を出てすぐにバスに乗る流れになっていました。
これにより、物語のスピード感が増し、視聴者を一気に作品の世界に引き込むことに成功しています。ただ、原作では季節が「冬」の設定だったのが、ドラマ撮影の時期に合わせて「秋」の装いになっていたりと、細かい変更点も見受けられました。
2. 乗客「小林大輔」のカット
原作には、乗客の中に「小林大輔」という若い男性が登場するのですが、ドラマ版では彼は完全にカットされています。彼の役割やセリフの一部は、他の乗客(淡路一平など)に割り振られたり、省略されたりしていました。
これはおそらく、放送時間の尺の都合や、主要キャラクターである我路や整くん、そして真犯人の心理描写に焦点を絞るための構成上の判断だったのかなと思います。結果として、登場人物が整理され、ドラマとしては見やすい構成になっていました。
3. ガロ編の早期決着とシリーズ構成
原作では、ガロとの因縁や「漂流郵便局」のエピソードなどは、もっと長いスパンで描かれるのですが、ドラマではバスジャック編の流れの中で第3話までに一気に描かれました。
これにより、犬堂我路というキャラクターの重要性が早期に提示され、ドラマ全体を貫く「縦軸」としての存在感が強調されました。この構成変更は、連続ドラマとして視聴者の興味を持続させるために非常に効果的だったと感じます。
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ロケ地は岡山でなく小笠原伯爵邸

ドラマを見ていると、「あの素敵な洋館はどこにあるんだろう?」「ロケ地に行ってみたい!」と思いますよね。ネット上で「ミステリと言う勿れ ロケ地」と検索すると、よく岡山県の「旧野﨑家住宅」という情報が出てきますが、実はこれ、注意が必要です。
岡山県の旧野﨑家住宅は、後に公開された映画版『ミステリと言う勿れ』(広島編)で、狩集家(かりあつまりけ)の屋敷として使用された場所であり、ドラマのバスジャック編とは関係がありません。
ドラマ版のバスジャック編で、犬堂家の屋敷として使用されたのは、東京都新宿区河田町にある「小笠原伯爵邸(おがさわらはくしゃくてい)」です。1927年に建てられたスパニッシュ様式の非常に美しい建物で、現在は高級スペイン料理レストランとして運営されています。
あの重厚な雰囲気や、エキゾチックな内装は、セットではなく本物の歴史的建造物だからこそ出せたものなんですね。結婚式場としても人気がある場所なので、聖地巡礼としてランチやディナーに訪れるのも素敵かもしれません。
建物についての正確な情報や歴史的価値については、公式サイトで詳しく紹介されていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。(出典:小笠原伯爵邸公式サイト)
真実は人の数だけあるの意味
「事実は一つ、真実も一つ」と教訓のように語る青砥刑事に対し、整くんが真っ向から否定して放った言葉。
「真実は一つなんかじゃないですよ。真実は人の数だけあるんです。でも事実は一つです」
これは、本作品全体を象徴するとても重要なテーマです。「事実」とは、客観的に起きた出来事(例:AさんがBさんを殴った、人が死んだ)のこと。これは揺るぎようがありません。しかし「真実」とは、その事実をどう解釈するかという主観(例:Aさんは悪意があった、いや正当防衛だった、Bさんが悪い、あるいは仕方なかった)のことであり、これは見る人の立場や感情によっていくらでも変わってしまうのです。
バスジャック事件においても、この対比は鮮烈に描かれました。煙草森にとっては、愛珠を埋めたことは「片付け(真実)」でしたが、客観的な事実としては「殺人」です。我路にとっては、煙草森への復讐は「正義の鉄槌(真実)」でしたが、法的には「犯罪」です。
私たちは普段、ニュースやSNSで流れてくる情報を「真実」だと思い込みがちですが、それはあくまで誰かのフィルターを通した「一つの側面」に過ぎないのかもしれません。
整くんのこの言葉は、現代社会にはびこる偏見や思い込み、そしてSNSでの一方的な誹謗中傷などに対して、警鐘を鳴らしているようにも聞こえます。「あなたの見ている真実は、本当に事実なのか?」と、私たち自身に問いかけてくる深いメッセージなんですね。
ドラマミステリと言う勿れバスジャックのネタバレ総括

今回は、ドラマ『ミステリと言う勿れ』の中でも屈指の名エピソードである「バスジャック事件」について、ネタバレ全開で解説してきました。煙草森誠という理解不能な犯人の存在、それに対する犬堂我路の壮絶な復讐劇、そしてその間で揺れ動く人々の心を解きほぐす久能整の言葉。どれをとっても名作と呼ぶにふさわしい、見応えのあるエピソードでした。
特に「手首」が送られてくるラストシーンは、勧善懲悪では終わらないこのドラマの奥深さを象徴しています。整くんと我路、二人の関係はここで終わるのではなく、ここから始まります。もし、まだドラマを見ていない方や、もう一度見返したいという方は、ぜひ彼らの「視線」や細かい伏線に注目して視聴してみてください。きっと、初回とは違った新しい発見があるはずです。
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