こんにちは、nanaです。
『愛の不時着』を見返していると、ストーリーだけではなく、二人が暮らす「部屋」の違いにも目を奪われます。ユン・セリがソウルで暮らす洗練された空間と、北朝鮮でリ・ジョンヒョクが暮らす素朴な家。同じ作品の中なのに、そこに流れている空気はまるで違いますよね。
以前のこの記事では、劇中に登場する家具や雑貨のブランドを紹介し、IKEAやニトリなどで似たインテリアを再現する方法まで広げていました。でも改めて作品と確認できる資料を見直すと、『愛の不時着』のインテリアで本当に面白いのは、「どこで同じ家具を買えるか」だけではありません。
セリは何でも手に入るような豊かな生活をしているのに、その部屋では一人で過ごす姿が印象に残ります。一方のジョンヒョクの家は決して豪華ではありませんが、セリが不時着したことで、人が食事をし、言い争い、心配し合う場所へ変わっていきます。
豪華な部屋が必ずしも温かいとは限らず、質素な家が必ずしも寂しいとは限らない。二人の住まいを見比べると、『愛の不時着』が描いた「帰る場所」の意味まで少し違って見えてきます。
この記事では、ジョンヒョクの家、セリのソウルの住まい、キャンドルやピアノなど印象的な小物を取り上げながら、公式に確認できることと作品から読み取れることを分けて見ていきます。
※この記事には『愛の不時着』の物語後半に触れる内容があります。
- ジョンヒョクの家が物語で大切な理由
- セリのソウルの部屋との違い
- 二人の暮らす空間から見える孤独と温かさ
- キャンドルが二人をつなぐ小物になった理由
- 日本で開催された『愛の不時着』展の展示内容
- 劇中アイテムとして公式確認できるもの・できないもの
『愛の不時着』のインテリアは二つの世界を見せている
『愛の不時着』は、パラグライダー事故によって韓国の財閥令嬢ユン・セリが北朝鮮へ入り、リ・ジョンヒョクの家に身を隠すところから大きく動き始めます。セリは国境を越えただけでなく、それまで自分が当たり前だと思っていた暮らしから、まったく違う生活へ放り込まれることになります。
便利さも、物の豊かさも、自分の肩書もそのままでは使えません。その変化を一番身近に感じさせているのが、毎日を過ごす「家」なんですよね。
セリの世界は豊かでも、一人の時間が浮かび上がる
ソウルにいるセリは、自分の会社を率いる財閥令嬢です。住まいも服装も生活も洗練され、欲しいものを手に入れられるだけの経済力があります。広く整えられた空間には、彼女が自分の力で築いてきた成功も表れています。
それでも、その美しい部屋の中にいるセリを見ると、豊かさだけでは説明できないものが残ります。余白の多い空間に一人でいる姿が、かえって彼女の孤独を際立たせて見えるからです。

一方、北朝鮮で暮らすジョンヒョクの家は、セリが慣れ親しんだ生活と比べればずっと素朴です。停電などの不便もありますが、物語が進むにつれて、ここには人が集まり、食事をし、誰かの帰りを待つ時間が増えていきます。
ここがポイント
『愛の不時着』では、住まいの違いが単なる南北の生活格差を見せるだけではありません。「物をたくさん持つこと」と「自分の居場所があること」は同じなのか、という問いまで二つの空間から見えてきます。
リ・ジョンヒョクの家が「隠れ場所」から「帰る場所」へ変わる
物語の始まりでは、ジョンヒョクの家はセリにとって逃げ込んだ場所にすぎません。見つかれば危険なため、そこにいること自体が緊張を伴い、セリも一刻も早く韓国へ戻ることを考えています。
それでも同じ家で時間を重ねるうちに、空間の意味が変わっていきます。ジョンヒョクと食事をし、言い合いをし、第5中隊の兵士たちが出入りし、村の女性たちとも関係が生まれる。建物そのものは変わらなくても、そこで過ごす人と時間が増えることで、「隠れている場所」が少しずつ「戻ってきたい場所」のように見えてくるんですよね。

公式展でも再現されたジョンヒョクの居間
ジョンヒョクの家が作品を象徴する空間だったことは、日本で開催された『愛の不時着』展からも分かります。2021年の展示では、劇中で使用された衣装や小道具、ピアノなどとともに、リ・ジョンヒョクの居間が再現されました。
展示会で再現する場所として選ばれたのが、豪華なホテルやセリの華やかな会社だけではなく、この居間だったことは興味深いところです。二人が日々を過ごし、関係を築いていった場所だからこそ、ファンにとって「あの物語へ戻れる場所」になっていたのでしょう。
セリの部屋とジョンヒョクの家|空間が映し出すもの
二つの住まいを比べると、「都会的な部屋」と「素朴な家」という見た目以上の違いが見えてきます。セリの部屋には成功した経営者としての自立や物質的な豊かさがあり、ジョンヒョクの家には必要最低限の暮らしと、誰かと過ごす生活感があります。
もちろん、制作側が家具一つひとつに特定の心理的意味を込めたと断定することはできません。ただ、二つの空間で過ごすセリの姿を比べると、彼女が北朝鮮で得たものが単なる「珍しい生活体験」ではなかったことは伝わってきます。
| セリのソウルの空間 | ジョンヒョクの家 |
|---|---|
| 洗練されている | 素朴で生活感がある |
| 余白が多い | 人の気配が増えていく |
| 物質的に豊か | 必要最低限の暮らし |
| 成功したセリを映す | 誰かと過ごすセリを映す |
| 一人の時間が印象に残る | 関係性が育つ時間が積み重なる |

セリは北朝鮮で「何を持っている人か」ではなくなる
韓国にいるセリには肩書も会社も財産もあります。けれど国境を越えた瞬間、それらは彼女を守ってくれません。いつもの生活も人脈も使えず、ジョンヒョクたちに助けてもらわなければ生きていけない立場になります。
だからこそ、ジョンヒョクの家での暮らしには大きな意味があります。セリはそこで「何を所有している人なのか」ではなく、一人の人間として周囲と関係を作っていきます。最初は助けられる側だった彼女が、やがて村の人たちや第5中隊の兵士たちを大切に思うようになる変化も、同じ生活空間を共有した時間から生まれています。
「自分の家」ではなかった場所に思い出が増えていく
ジョンヒョクの家は、現実にはセリの家ではありません。彼女は偶然そこへ入り込み、一時的に身を隠していただけです。それなのに物語を見終える頃には、セリの豪華なソウルの部屋よりも、ジョンヒョクの家の方に「二人が一緒に暮らした場所」という感覚が強く残ります。
家とは誰の所有物なのかだけではなく、そこで誰と、どんな時間を過ごしたかによって記憶されるものなのかもしれません。セリにとって北朝鮮での暮らしが忘れられないのも、物の豊かさでは測れない時間をそこで知ったからなのでしょう。
キャンドルは「インテリア」より二人をつなぐ小物として見る
『愛の不時着』の小物で忘れられないものの一つがキャンドルです。市場でセリを見失ったジョンヒョクが、彼女に自分の居場所を知らせるため灯りを掲げる場面は、作品を代表するシーンの一つになっています。
ここで使われるキャンドルについては、韓国のフレグランスブランドSoohyangから『愛の不時着』公式商品が展開されています。ブランド側でも、キャンドルが二人をつなぐものとして作品との関係を紹介しています。
「見つけてもらうための灯り」だった
キャンドルを単なるおしゃれなインテリアとして紹介してしまうと、この小物の一番大切なところが抜けてしまいます。あの場面で重要なのは香りや部屋への飾り方ではなく、暗闇の中にいるセリが「自分を探してくれている人」を見つけることです。
ジョンヒョクは言葉で愛情を大きく語るより、必要なときに行動する人物として描かれています。困っていれば迎えに来て、危険なら守り、見失えば探しに来る。キャンドルの小さな光も、そんな彼の愛情表現と重なっています。

だからキャンドルは、「部屋に置けば愛の不時着風になるアイテム」というより、暗い場所でも相手を見つけようとする二人の関係を思い出させる小物として見る方が、この作品らしいと思います。
ピアノはジョンヒョクの過去と現在をつなぐ、もう一つの居場所
公式展では、劇中で使用されたピアノも展示されています。『愛の不時着』におけるピアノは、部屋を美しく見せるための家具というだけではありません。
ジョンヒョクには軍人になる前、ピアニストを目指していた人生があります。その過去と現在のセリが、スイスで本人たちの知らないうちにつながっていたことも、物語が進むにつれて大きな意味を持ってきます。
ピアノを見るときは、「素敵なインテリアだから」という視点だけでは足りません。そこにはジョンヒョクが失った人生、今も消えていない音楽への思い、そしてまだ互いを知らなかったセリとのつながりまで重なっています。

劇中に登場した家具やブランドはどこまで分かる?
『愛の不時着』の人気が高いこともあり、ネット上には「セリのテーブルはこのブランド」「このソファが使われた」「このマグカップと同じもの」といった情報が数多くあります。ただ、それらのすべてについて、制作側やブランド公式が劇中使用品として公表しているわけではありません。
見た目が似ている商品と、撮影で実際に使用された商品は別です。そのため『ドラマの余白』では、ブランド側の公式発表や展示資料などで確認できるものと、外見から推測されているものを分けて扱います。
| 確認できる情報 | 慎重に扱う情報 |
|---|---|
| Netflixなどの公式作品情報 | まとめサイトだけにあるブランド特定 |
| 公式展で公開された実物 | 見た目が似ている家具 |
| ブランド自身が作品との関係を公表した商品 | 「○○風」として販売されている商品 |
| 公式商品として発売されたアイテム | SNSだけで広がった商品名 |

IKEAやニトリで『愛の不時着』の部屋を再現できる?
以前の記事では、IKEAやニトリの商品を使ってジョンヒョクやセリの部屋に近づける方法を詳しく紹介していました。ただ、この部分を増やしすぎると、ドラマの記事というより一般的なインテリアコーディネートの記事に近づいてしまいます。
もちろん、作品を見て「あんな雰囲気の部屋にしたい」と思う楽しみ方まで否定する必要はありません。ただし、似た家具を集めれば『愛の不時着』の世界になるわけでもないんですよね。
再現するなら「商品名」ではなく空間の印象を見る
ジョンヒョクの家が好きなら、木の素材感や生活感のある器、柔らかな灯り、人が使っている気配を参考にできます。セリの部屋が好きなら、物を詰め込みすぎず、余白を生かした配置や洗練された印象をヒントにできるでしょう。
大切なのは、それらを「撮影で使われた家具の代用品」として断定しないことです。劇中の空間を見て、自分が心地よいと感じた要素だけを暮らしに取り入れるくらいが、作品を楽しむ方法として自然だと思います。
『愛の不時着』展では実際の小道具とセットが公開された
日本では2021年に『愛の不時着』展が開催され、東京を皮切りに大阪、福岡、名古屋を巡回しました。展示では写真や映像だけでなく、ドラマで使用された衣装、小道具、ピアノなどが公開され、リ・ジョンヒョクの居間も再現されています。
現在、この2021年の展示会そのものは終了しています。ただ、何が展示対象に選ばれたのかを見るだけでも、作品の中でどの空間や小道具がファンの記憶と強く結びついていたのかが分かります。
「部屋を見る」ことは二人の時間を見直すこと
美しい部屋が登場するドラマはほかにもたくさんあります。それでも『愛の不時着』のジョンヒョクの家を見て胸が動くのは、そこに家具以上のものを覚えているからなのでしょう。
セリが身を隠していたこと、一緒に食事をしたこと、第5中隊の兵士たちが集まったこと、ジョンヒョクが彼女を守ろうとしたこと。空間を見るだけで、その場所で起きた出来事まで自然に思い出せます。
公式展で居間が再現されたのも、単にインテリアが人気だったからではなく、そこが二人が一緒に生きた時間を思い出せる場所だったからなのかもしれません。
愛の不時着のインテリア・小物に関するFAQ
リ・ジョンヒョクの家は公式展で再現された?
はい。2021年に日本で開催された『愛の不時着』展では、リ・ジョンヒョクの居間が再現されました。劇中で使用された衣装や小道具、ピアノなども展示されています。
『愛の不時着』のキャンドルは実在する?
Soohyangから『愛の不時着』公式商品としてキャンドルなどが展開されています。同ブランドは、キャンドルを作品の中で二人をつなぐものとして紹介しています。
セリの部屋の家具ブランドは全部分かっている?
ネット上ではさまざまな商品名が紹介されていますが、すべてについて制作側やブランド公式による確認が取れるわけではありません。この記事では、見た目が似ているだけの商品を劇中使用品とは断定していません。
IKEAやニトリでジョンヒョクの部屋を再現できる?
まったく同じ部屋を再現するというより、木の素材感や生活感、柔らかな灯りなど、劇中の空間から受け取った雰囲気を取り入れることはできます。ただし、それらを劇中使用品の代用品として紹介するものではありません。
現在も『愛の不時着』展を見ることはできる?
この記事で紹介している日本の『愛の不時着』展は2021年に開催されたもので、すでに終了しています。過去の公式展示資料から、劇中で実際に使用された小道具や再現されたセットについて知ることはできます。
まとめ|二人の部屋に残っているのは家具より「一緒にいた時間」
『愛の不時着』のインテリアを改めて見ていくと、同じ家具を探したり、ブランドを特定したりするだけでは、この作品の部屋がなぜ心に残るのかを説明しきれないことが分かります。
- セリの洗練された空間には成功と同時に孤独も見える
- ジョンヒョクの家は隠れ場所から二人が帰る場所へ変わっていく
- キャンドルは暗闇の中で互いを見つけるための灯りとして印象に残る
- ピアノはジョンヒョクの過去と現在、セリとの縁をつなぐ
- 公式展ではジョンヒョクの居間や実際の小道具が公開された
- 劇中使用品と「似ている商品」は分けて考える必要がある
セリは物質的にはジョンヒョクよりずっと多くのものを持っていました。それでも北朝鮮で彼女が知ったのは、便利さとは別のところにある暮らしの温度です。誰かが帰りを待ち、一緒にご飯を食べ、困ったときには探しに来てくれる。そんな時間が、もともとは自分のものではなかった場所を、忘れられない場所へ変えていきます。

だから物語を見終えたあと、ジョンヒョクの家を思い出すと胸が温かくなるのかもしれません。覚えているのはカーテンの柄や家具のメーカーだけではなく、その部屋にいたセリやジョンヒョク、第5中隊の兵士たちの姿まで含めた一つの時間だからです。
『愛の不時着』のインテリアで一番心に残るものは、家具そのものではなく、その家具の間で二人が過ごした時間なのだと思います。
参考にした公式・一次情報
作品の基本設定についてはNetflix公式『愛の不時着』を確認しています。日本で開催された『愛の不時着』展については、主催関連企業が公開した展示会の公式発表・イベント情報を確認しています。劇中で使用された衣装や小道具、ピアノの展示、リ・ジョンヒョクの居間の再現などが紹介されています。キャンドルについては、韓国のフレグランスブランドSoohyangによる『愛の不時着』公式コレクションの情報を確認しています。

