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やまとなでしこ佐久間家の間取りは?幻のロケ地とセットを解説

やまとなでしこ佐久間家の間取りは?幻のロケ地とセットを解説 やまとなでしこ

こんにちは、nanaです。

2000年の放送から四半世紀が過ぎてもなお、多くの人々の心を掴んで離さない名作ドラマ『やまとなでしこ』。松嶋菜々子さん演じる神野桜子の華麗なファッションや、堤真一さん演じる中原欧介の不器用な優しさに胸を打たれた方も多いはずです。

そんな物語の中で、主人公たちの心の拠り所であり、「理想の家庭」の象徴として描かれているのが佐久間家ですよね。

第5話で火事に遭った桜子さんが避難したり、いつものメンバーが集まって鍋を囲んだりする、あの温かくておしゃれな空間。「将来は佐久間家のような家に住みたい」「あの不思議で魅力的な間取りはどうなっているの?」「ロケ地や場所はどこにあるの?」と気になって検索した経験がある方も多いのではないでしょうか。

実はあの家、インテリアや外観に至るまで、当時のドラマ制作チームの並々ならぬ情熱とこだわりが詰まった場所なんです。今回は、そんな佐久間家の知られざる秘密について、ドラマファンの視点から徹底的に深掘りし、その魅力を余すところなくお伝えします。

この記事のポイント
  • 実在しない「幻のスキップフロア」構造の全貌と制作秘話
  • 玄関とリビングをつなぐ階段演出に込められた意図
  • ロケ地が特定されていない理由と外観にまつわる謎
  • 第5話で桜子が見せた涙と家の間取りの関係性

やまとなでしこの佐久間家の間取りは実在しない?

やまとなでしこの佐久間家の間取りは実在しない?

ドラマを見ていると、玄関を入って少し階段を下りると広々としたリビングが広がる、あのおしゃれで立体的な構造に憧れますよね。「こんなマンションが都内にあるなら住んでみたい」と思った方もいるでしょう。まずは、多くのファンが気になっている佐久間家の間取りの正体や、インテリアの特徴について詳しく見ていきましょう。

佐久間家の間取り図は幻のスキップフロア

結論から申し上げますと、佐久間家の内部空間は実在するマンションや一軒家を借りたものではなく、フジテレビのスタジオ内に一から組まれたセットでした。しかし、それは単なる「背景」としてのセットではありませんでした。

通常、ドラマのスタジオセットというのは、カメラの移動や照明の設置を容易にするため、フラットな床面に壁を立てて作るのが一般的です。

しかし、佐久間家のセットは、当時のドラマ美術としては極めて異例の「スキップフロア(中2階)」構造で作られていました。これは、「佐久間家は坂の途中に建っている」という脚本上の地理的設定を、家の中の構造でも視覚的に表現しようとした結果です。

佐久間家の構造・3つのフロア構成

佐久間家の間取りは、高低差を利用して以下の3つのエリアにゾーニングされていました。

  • 中2階(メザニン)エリア:
    玄関ホールと小さな廊下部分です。坂の上手にある道路からアプローチするため、建物の中間層に位置しています。ここが「外の世界」との接点となります。
  • 下層階(1階相当)エリア:
    メインのリビング・ダイニング・キッチン(LDK)です。玄関から数段の階段を「下りる」ことで、天井が高く開放的な居住空間へとつながります。
  • 上層階(2階相当)エリア:
    玄関から階段を「上がる」ことでアクセスする、寝室や子供部屋、リラックスルームなどのプライベートな空間です。

この「中2階に玄関がある」という構造は、実際の日本の住宅、特に都心の傾斜地にある高級住宅などでは見られる建築様式ですが、スタジオセットでこれを再現するには、床を大掛かりに底上げする必要があり、大変な手間とコストがかかります。

当時の制作チームが、いかにこの「佐久間家」という場所にリアリティと特別な意味を持たせようとしていたかが分かりますね。単なる撮影場所を超えて、キャストの一部として機能するように設計されていたのです。

階段を下りるリビング構造の秘密

佐久間家の最大の特徴といえば、やはり玄関からリビングへ続く、あの象徴的な階段です。「ただいま」と帰ってきて、階段をトントンと下りてリビングに入る。この動線には、映像演出上の深い理由と、心理的な効果の両方が隠されています。

まず演出面での大きな理由は、「ワンアングルで家全体が見渡せること」です。もしこれが一般的なフラットなマンションの間取りだったとしたら、玄関とリビングの間には廊下やドアが必要になり、空間が分断されてしまいます。しかし、『やまとなでしこ』において佐久間家は、欧介さん、粕屋さん、利彦さんといった大学時代の仲間たちが集まる「部室」のような役割を果たしていました。

玄関に入ってきた人と、リビングのソファでくつろいでいる人、キッチンで料理をしている人。これら複数の登場人物を、カットを割らずに一つの画面の中に収めることができる。しかも、階段による高低差があることで、画面に「奥行き」と「立体感」が生まれます。これにより、登場人物たちの位置関係や距離感が視覚的に強調され、仲間の絆やアットホームな雰囲気がより視聴者に伝わりやすくなっていたのです。

また、心理的な効果として「おこもり感(居心地の良さ)」も挙げられます。地面(玄関レベル)よりも少し低い位置にあるリビングは、心理的に「守られた場所」「巣穴」のような安心感を与えます。

外の社会で戦って疲れた欧介さんや、虚勢を張って生きる桜子さんが、階段を下りることで「素の自分」に戻れる。そんなスイッチの役割を、あの階段が果たしていたように思います。

佐久間家のインテリアや家具ブランドの特徴

佐久間家のインテリアコーディネートは、キャラクターの性格や社会的地位を見事に反映した素晴らしいものでした。

「東京のお金持ちの家」といっても、東十条さんの実家のような重厚で格式高い洋館(和敬塾本館のようなクラシックなスタイル)でもなければ、馬主である小原さんの家のような派手で成金的な豪邸でもありません。

佐久間家のテーマを言語化するなら、「広くて、おしゃれで、快適な、知的富裕層のモダンハウス」といったところでしょうか。床や建具には温かみのあるウッド素材を多用しつつ、配置されている家具はシンプルでデザイン性の高いモダンなものばかり。全体的に茶系やベージュ、白を基調としたアースカラーでまとめられており、落ち着きと知性を感じさせます。

インテリアのポイント

  • ミッドセンチュリーモダンの薫り:
    具体的なブランド名の公式記録は残っていませんが、イームズやジョージ・ネルソンといったミッドセンチュリー期の名作家具に通じる、機能的で美しいデザインの家具が選ばれていました。
  • 生活感とセンスのバランス:
    モデルルームのように生活感がないわけではなく、本棚には洋書や医学書が並び、キッチンには使い込まれた調理器具がある。けれど雑多ではなく、すべてがセンスよく収まっている。この「丁寧な暮らし」感が、桜子さんの憧れを誘ったのかもしれません。
  • 照明計画:
    天井からの全体照明だけでなく、フロアランプやテーブルランプなどの間接照明を効果的に使い、夜のシーンでは温かくムーディーな空間を作り出していました。

検索時の注意点

現在、WEB検索で「ドラマ 家具」などを調べると、アクタス(ACTUS)やフクラ(HUKLA)といった有名ブランドが美術協力としてヒットすることがありますが、これらは近年のドラマ(2024年〜2025年放送作品など)の情報であるケースが多いです。

『やまとなでしこ』放送当時の2000年の家具情報は、メーカーの廃番やブランドの統合などで追うのが難しくなっていますので、情報の混同には注意が必要です。

欧介の先輩である佐久間先生の家の設定

欧介の先輩である佐久間先生の家の設定

家はその住人の人となりを映す鏡だと言いますが、この家の主である佐久間為久(西村雅彦さん)と真理子(森口瑤子さん)夫妻の設定も、家の雰囲気に大きく影響しています。佐久間先生は大学病院に勤務する優秀な医師であり、欧介さんの大学時代の先輩です。

一般的に「医師の邸宅」というと、閉鎖的で権威的なイメージを持たれることもありますが、佐久間家は真逆です。

数学の道を諦めて魚屋になった後輩や、少しクセのある友人たちを分け隔てなく招き入れ、食事を振る舞う「オープンでリベラルな気質」。それが、扉や仕切りの少ない開放的な間取りにそのまま表れています。

特に妻の真理子さんの存在は大きく、彼女の洗練されたセンスと、誰に対しても優しく接する包容力が、インテリアの柔らかさに反映されているようです。

彼らにとってこの家は、単なる住居ではなく、社会の荒波から一時退避できるシェルターであり、大切な友人たちと時間を共有するための「サロン」のような場所だったのかもしれません。だからこそ、視聴者である私たちも「こんな家に招かれたい」と強く感じるのでしょう。

佐久間家の場所や外観ロケ地は特定不能?

「佐久間家の内部はセットだとしても、外観として映っていたあの建物はどこにあるの?」と、ロケ地を探した経験がある方もいると思います。しかし、残念ながら佐久間家の外観ロケ地は、放送から20年以上経過した現在に至るまで「特定不能」「詳細不明」とされています。

ドラマのロケ地情報は、ファンの熱心な調査によって特定されることが多いのですが、佐久間家の外観に関しては、多くのロケ地データベースサイトでも空白のままです。これにはいくつかの理由が推測されます。

ロケ地名特定状況詳細・備考
魚春(欧介の実家)特定済み文京区小石川に実在した鮮魚店(現在は閉店しマンション等に変化)
代官山アパート(桜子の家)特定済み渋谷区猿楽町に実在したアパート(周辺の景色も含め特定されている)
佐久間家(外観)不明ロケ地マップでも一貫して「不明」扱い。個人邸宅の可能性大。

最も有力な説は、「店舗や公共施設ではなく、実在する一般の個人宅(邸宅)の外観をお借りして撮影していた」というものです。レストランや結婚式場であれば、宣伝にもなるため情報が公開されやすいですが、個人宅の場合はプライバシー保護の観点から、住所や場所は厳重に伏せられます。

ドラマの設定では、文京区や港区のような「都心の坂の多い高級住宅街」をイメージさせる描写が多々ありました。おそらくは、そういったエリアにある、モダンなデザインの一軒家を借景したのでしょう。外観が特定されないことで、かえって「どこかにあるかもしれない理想の家」としての神秘性が保たれているとも言えます。

やまとなでしこ佐久間家の間取りが輝く名シーン

佐久間家は単におしゃれな背景美術というだけでなく、物語の展開を左右する重要な舞台装置でもありました。特に、主人公・神野桜子の心情変化において、この家が果たした役割は計り知れません。ここからは、間取りや空間演出が効果的に機能した名シーンを振り返っていきます。

第5話の火事で桜子が避難した重要な場所

ドラマの前半における最大のクライマックスとも言える第5話「恋と洋服」。桜子さんが住んでいた「代官山のマンション(と周囲に偽っていたボロアパート)」が、漏電による火災で全焼してしまうという衝撃的な展開を迎えます。

住む場所はもちろん、彼女が「自分を良く見せるための武器」であり、アイデンティティそのものだと思っていた大量のブランド服も、すべて灰になってしまいました。全てを失い、煤まみれになった桜子さんが身を寄せたのが、この佐久間家でした。

もし、避難先が狭苦しいビジネスホテルや、閉鎖的な個室だったとしたら、桜子さんの孤独感や絶望感はもっと悲惨なものとして映ったかもしれません。

しかし、佐久間家のリビングは、吹き抜けのように天井が高く、温かい色味の照明に包まれた「開放的で包容力のある空間」でした。この空間の広がりが、傷ついた桜子さんを優しく受け止め、視聴者に対しても「もう大丈夫、ここは安全な場所だ」という安心感を与える演出として機能していました。まさに、物語上の「サンクチュアリ(聖域)」としての役割を果たしていたのです。

桜子が居候して涙したリビングの包容力

桜子が居候して涙したリビングの包容力

佐久間家に居候することになった桜子さんは、そこで28歳の誕生日を迎えます。しかし、合コンの女王として華やかに振る舞っていたはずが、家も服も失い、狙っていた大金持ちの東十条さんとの関係もギクシャクし、何も手にしていない自分に直面することになります。

みんなが寝静まった深夜、薄暗いリビングのソファで一人、桜子さんが涙を流すシーン。これは『やまとなでしこ』屈指の名場面の一つです。ここで重要なのが、リビングの「適度な広さと陰影」です。セットならではの計算された照明が、広いリビングの中にポツンといる桜子さんの孤独を際立たせつつも、家の温もりが彼女を守っているようにも見えました。

その直後、目を覚ました真理子さんが2階から下りてきて優しく声をかけ、佐久間先生からは欧介さんの過去(数学者として挫折し、失意の中で帰国したこと)を聞かされます。この家は、桜子さんが虚勢という厚い「鎧」を脱ぎ捨てて、素顔の弱さを見せることができる唯一の「更生(リハビリ)の場所」でした。佐久間家のリビングが持つ不思議な安心感が、頑なだった彼女の心を少しずつ溶かしていったのです。

玄関とキッチンの位置関係が生む演出効果

前述した「スキップフロア」の構造は、ドラマチックなシーンを生み出すための仕掛けとしても機能していました。佐久間家のセットでは、キッチンからダイニング、リビング、そして数段上がった玄関ホールまでが、遮るものなく視線が通るように設計されています。

これにより、例えばキッチンで料理をしている真理子さんが、玄関のドアが開く音を聞いて、顔を出さずに「おかえりなさい」と声をかけたり、帰ってきた欧介さんの表情を遠くから確認したりといった、スムーズな演技が可能になります。これは、家族の気配を常に感じられるという、理想的な家庭像の表現でもあります。

また、サスペンス的な要素やコメディ要素の演出にも一役買っています。リビングで桜子さんと欧介さんが深刻な話をしている最中に、玄関から予期せぬ来客(例えば東十条さんなど)が入ってくる。

その緊張感が、「高低差のあるワンルーム」であるがゆえに、視線の交錯や隠れる動作などを通じて、よりスリリングに描かれていました。壁で仕切られた部屋では表現できない、舞台劇のようなライブ感が、この家の間取りには備わっていたのです。

誤認されやすい外観ロケ地の正しい情報

最後に、インターネット上やSNSなどで「ここが佐久間家ではないか?」と噂され、誤認されやすいスポットについて整理しておきます。誤った情報で聖地巡礼をしてしまわないよう、注意が必要です。

佐久間家と間違われやすいロケ地

  • スパイン麻布(FOXEY):
    港区麻布台にある高級ブティックの本社ビルです。第5話などで欧介さんが走るシーンや、合コン帰りのシーンで背景として登場する重厚な建物ですが、これは佐久間家そのものではありません。
  • 日立目白クラブ(旧学習院昭和寮):
    新宿区下落合にあるスパニッシュ様式の美しい洋館。ここはドラマ内で、馬主の「小原邸」としてパーティーシーンなどで使用された場所です。佐久間家とは建築様式が異なります。
  • 和敬塾本館(旧細川公爵邸)
    文京区目白台にある洋館。東十条司の実家や、その他のパーティー会場として度々登場しますが、佐久間家のモダンな雰囲気とは対照的なクラシックスタイルです。

このように、佐久間家の外観については、あくまで「謎に包まれたまま」というのが現状です。しかし、場所が特定されないからこそ、現実の風景に上書きされることなく、私たちの中で「桜子たちが集った理想の家」としてのイメージが、美しいまま保存されているのかもしれませんね。

やまとなでしこの佐久間家と間取りの総括

今回、佐久間家の間取りやセットについて徹底的にリサーチし、改めて感じたのは、この空間そのものが『やまとなでしこ』という作品の「良心」や「愛」を象徴していたということです。

やまとなでしこの佐久間家と間取りの総括

中2階のあるスキップフロアという珍しい間取りは、単におしゃれさを追求したデザインではなく、登場人物たちの心の交流、視線の交わり、そして孤独と再生を描くために、緻密に計算し尽くされた舞台装置でした。

実在しないセットだと知ると少し寂しい気もしますが、物理的に存在しないからこそ、「私たちの記憶の中で永遠に色あせない理想の家」として残り続けるのだと思います。

もし、これから家を建てたりリノベーションを考えている方がいれば、「玄関からリビングへ下りる階段」や「スキップフロア」を取り入れてみるのも素敵かもしれません。そこにはきっと、佐久間家のような温かい空気が流れるはずですから。

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